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入江研究室では、建築の可能性・実験性に重点を置き、未来を見据えた建築設計・調査研究・国内外交流などの活動を行なっています。

調査研究

建築デザインに関する調査研究は、建築という思考や活動の理論的展開に繋がります。入江研究室では、建築デザインに関する活動の基礎的位置づけとして、主に次のような視点で調査研究を行なっています。

1. 高温多湿地域における建築設計手法に関する研究

沖縄や東南アジアのような高温多湿地域における建築設計手法や建築思想について調査研究しています。地球規模で温暖化が進んでいる状況において、沖縄を拠点にパッシブで省エネにつながる建築設計手法を探究することは、今後、多くの地域において応用できるプロトタイプとしての建築設計手法のあり方を模索することに繋がると考えています。また、研究室として密接な関係を構築しているタイのキングモンクット工科大学ラカバン校やコンケン大学とも連携しながら調査研究を進めています。

2. 沖縄の現代型木造住宅に関する研究

沖縄では近年急激に木造住宅が増えていますが、それらは伝統木造住宅とは異なる形式の現代型木造住宅と言えます。研究室では、未来に向けた現代型木造住宅のさらなる可能性について、主に建築構法に焦点を当てて探求しています。戦後の沖縄における住宅は、台風やシロアリの影響から、ほとんど鉄筋コンクリートでつくられてきたため、標準的な気候の地域や寒冷地のように伝統木造住宅とは異なる現代の木造住宅形式が発展してきませんでした。そこで、研究室として、湿度や通気、壁内結露などの諸要因を考慮に入れつつ、現代の状況に適応する沖縄における現代型木造住宅の設計手法の探究とともに調査研究を進めています。

3. 建築形式の類型から捉える建築形態論

沖縄の住宅、店舗兼住宅、小学校、団地、行政庁舎、公民館、独立型公衆トイレ、リゾート・ホテルといったビルディングタイプの類型調査を行ない、建築物の形式的側面から特徴や傾向を捉える試みを続けています。加えて、材料・構法的側面の調査研究も行なっています。新しい建築形式を生み出すには、過去を知ることが重要であり、過去の建築のあり方を類型化して位置づけていくことは、重要な作業です。また、このような作業は、沖縄のみに限定されることではなく、どこの土地においても応用していくことが可能であると考えています。

4. セメント瓦の特徴と普及状況に関する研究

沖縄で名護市を中心に普及したセメント瓦の特徴と普及状況に関する調査研究を進めています。沖縄で展開された建築の歴史を捉えようとする時、セメント瓦は、重要な要素のひとつとして位置づけることができます。そこで、セメント瓦を貴重な文化遺産と捉え、消失する前にその特徴と普及状況をつかむために調査研究を続けています。

5. 沖縄近現代の建築家の建築設計手法や建築思想に関する研究

沖縄は、戦後復興期における近代建築の普及過程が特殊であり、鉄筋コンクリートやプレキャスト・コンクリートの普及などとともに、気候風土に適応させるためのデザイン的な工夫が施されてきました。また、現代建築においても特殊な気候環境を考慮した特徴あるデザインが生まれています。そうした建築設計手法について、沖縄の建築家たちの活動と思想とともに再評価することを目的にして、調査研究を行なっています。

建築設計(研究室プロジェクト

これまでに、教員と研究室学生が共同で建築設計プロジェクトに取り組み、国内外の建築設計コンペなどに応募してきました。また、研究室では、模型や立体パネルなどを制作し、海を越えて県外のイベントでの展示も行なってきました。このように、建築設計における実践的・国際的展開を進めることで、建築における可能性・実験性を日々探求し続けています。

これまでの活動について、詳しくは、

「06 研究室作品/論文」のページをご覧下さい。

教員の活動

研究室の学生との共同研究・設計のほか、東南アジアにおけるローコスト・ハイクオリティー住宅の構法的可能性について調査研究を行なっています。また、建築形式と建築物という物質を媒体として生成する機能を探求する実践的取り組み、大学施設改修における気候への適応性を探求する実践的取り組みも行なっています。

建築設計教育

本学の建築学コースでは、卒業設計と卒業論文を選択することができます。入江研究室では、各自テーマに対する知的探求や調査を行い、提案的成果物としての卒業設計、または、研究的成果物としての卒業論文に取り組んでいます。また、毎年、研究室の学生たちは、県内外で開催される卒業設計コンテストに挑戦しています。

これまでの結果について、詳しくは、

「05 受賞等」のページをご覧下さい。

1. 建築思考と場の創造

これまでに、県外他大学の研究室と合同ゼミや合同ワークショップなどを行なったり、建築家や評論家・研究者の方々にお越し頂き、講演会や建築設計案に対する講評会を行なってきました。外部の情報や御意見は、建築思考を磨くために重要な要素となります。ひとつの事柄を様々な視点から見つめることができる力を養うためにも、このような機会は貴重な場であると考えています。

2. 国際化への取り組み

建築設計教育における国際化は、将来、活動の幅を広げることに繋がります。入江研究室では、国際化を目指して2013年度から、海外大学との国際ワークショップを行ない、お互いの文化を認識・尊重する姿勢を重視した国際交流を進めています。また、海外大学に学びに行く学生もいます。一方、海外大学からの留学生や短期インターンシップ学生の受け入れも行ない、海外の協定校からのダブルディグリー・プログラムの学生も受け入れています。国際交流で様々な経験を積み重ねることで、建築を通して文化について考えながら、国際社会の中で活躍できる人材育成を目指しています。

これまでの実績について、詳しくは、

「07 海外大学での勉強」のページをご覧下さい。

入江研究室では、このように、国内外の大学との共同関係を構築しながら、国際的視野を持って具体的な課題について日々議論を進めながら、実践と理論的な活動に取り組んでいます。チャレンジングな実験的取り組みを通して、文化や社会に接続してくことを目指しています。

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